短所は無理に直さない方が良いという話

仕事で失敗したり、人間関係がうまくいかなかったりする度に、落ち込んだり、自己嫌悪したりする。これは、自分の短所だから直さなければと思う。でも、思うようにはいかなくて、しばらくすると、また繰り返してしまう。こんな経験、誰もが持っているだろう。

  

短所ってなんだろう?実際、自分で短所と思っていることは、自分で気づいたのではなく、他人から指摘されたり、具体的に関係がうまくいかなくなる。といった経験を繰り返して認識される。短所とは、あくまでも他人からの評価である。

 

短所も全ての人が感じる訳ではない。相手との関係性によって評価が変わる。ある人は短所とすることが、ある人からは長所として評価されることもある。

 

一例を挙げると、よく喋る人は、親しみやすい人と評価される一方で、おしゃべりで、うるさい人と評価されることもあるだろう。逆に寡黙な人は、落ち着いた思慮深い人と評価されることもあれば、何を考えているのかわからない人という評価を受けることもある。

 

あなたをポジティブに評価している相手からは、長所と評価されることが、ネガティブに評価している相手からは、短所として評価されることになるのだ。


多くの人は、長所は気付かず、短所を気に病む。「うるさい人」と言われれば、ショックだし、寡黙な人になりたいと思う。逆に、「何を考えているのかわからない人」と言われれば、もっと自由に話しかけられたらと、よく喋る人を羨ましく思うだろう。

 

 長所と短所は表裏一体の関係にある。故に短所は簡単に直せるものではない。短所を直せば長所を減らすことになる。それは自分の性格を否定しまうことになり、自分自身のバランスを崩してしまう。

 

短所を直せないとしたら、もう、お手上げで失敗を繰り返すしなないのだろうか?そんなことはない、ちょっとした心がけで、短所を抑えて長所を伸ばすことが可能である。そのための処方は、以下の3つのステップだ。

1.短所を分解する

2.自分の性格を認める
3.行動を変えてみる

まずは、あなたの短所を見極めることが必要だ。短所は「悪いところ」「直すべきところ」という思いで、一杯になってしまう。あまりきちんと向かい合っていない人が多いのではないだろうか?だから、周囲の指摘と本人の認識が、合ってなくて過剰に反応したり、勘違いしてることもある。

 

まずは、相手にネガティブな反応を引き出した、自分の行動を見極めよう。具体的にどんな行動が何を引き起こして、どんな場面で、コミュニケーションを阻害するのか?を冷静に見つめることが必要だ。

 

例を挙げると、周囲からは怖い人、とっつきにくい上司だと評価される場合。単に語気が荒いのだろうか?相手の言い分を聞かないのだろうか?言葉が足りなくて意図が伝わらないのか?

 

この上司に、いつも要領が悪い、仕事が遅いと怒られるている部下がいるとする。その理由は、何をしたら良いのかわからないのに質問できないのか?手順を守ってやっていたら時間が足りなくなるのか?1人では出来ない仕事なのにうまく他の人に頼めないのか?

 

どれも当てはまるかもしれない、それでも、分解してみると一つ一つの対処法は異なってくる。なるべく課題を細分化してみるといい。冷静に見てみると、思い当たるフシはいくらでも出てくるだろう。

 

とはいえ、いきなりその一つ一つを直そうとしても、上手くいかない。なぜなら、それは、自分の性格に根ざした行動だからだ。あなたの性格は常に行動に現れる。それを他人が見て、ある人は長所と、ある人は短所と評価する訳だ。他人からの評価であるが故に自分自身が納得しているとは限らない。だからなかなか直らないのである。

 

なぜ、そのような行動をとってしまうのか、その原因となる、自分の性格を知る必要がある。失敗した時に、自分はどうしてそのような行動をとったのか、正直な気持ちを思い出してみてほしい。仮に、相手が否定的な感情を持ったとしても、その行動には、あなたなりに良いと思って行動した結果だろう。そう行動する理由があなたの中にあるはずだ。

 

親しみを込めて気軽な言葉を使ったつもりがぶっきらぼうに聞こえるのかもしれない。自分と同じ失敗はしてほしくないと、相手のことを思ってつい強く言ってしまうのかもしれない。とても、あなたは、本当は面倒見が良かったり、情熱的な人なのかもしれない。

 

頼まれた仕事は、自分の手でやりとげたいという、責任感を感じるのかもしれない。手を抜かず、きちんとやるのが好きな几帳面な人のなのかもしれない。間違いがあったらいけないと慎重に事を進めるタイプかもしれない。

 

性格には良し悪しは無い。でもその性格が、短所となる行動を生む。短所を直そうとするならば、あなたが、そういう性格であることを、自分自身で認めることが大切だ。


性格は、あなたのこれまでの人生で培われたものだ。簡単には変えられない。しかし、あなたの人生や性格を否定しない範囲で、行動を少しだけ変えてみることはできる。性格に根ざす、あなたの意思を尊重しながら、行動だけを変えるのだ。

 

親しみを込めても、言葉が邪魔をするのなら、そう感じるのかも相手だけは丁寧にする。怒らないに越したことはないけれど、ついついやってしまうなら、怒った後に、自分の失敗談を伝えてフォローをするとか。さらに怒る前に、相手の言い分を聞けるようになれば上等だ。厳しいけれど頼りになる上司という評価に変わるだろう。

 

要領が悪いと言うなら、思いきってどんなところが悪いと思うのか、どうしたらいいのか聞いてみる。

それと同時に自分がどのようなことを考えて取り組んだのか伝える。そしてどのような行動をとったら良いか相談してみる。他の人にやり方を聞いてみるともっと他の良いやり方があるかもしれない。やり方を知らなかったり、自分のやり方に固執してしまっていただけかもしれない。そもそも、相手の考えていたアウトプットとあなたのそれが合ってないだけかもしれない。そこに気づけば、認識を合わせる方法を考えればよい。そんな議論を繰り返せば、納得するまで仕事をする粘り強い部下という評価をもらえることだろう。

 

繰り返しになるが、あなたの行動に対して、その時の状況や周囲の反応で、あなたが評価される。その結果が長所、または短所と呼ばれるものの正体である。自分の意思とは関係ない。相手の主観であり相対的な評価である。だから、あなたの行動によって周囲との関係を少し変えることができれば、あなたの短所は長所に変わることになる。そして、あなたの人生をもっと楽に、もっと自由にすることにつながるはずだ。