人生という冒険はつづく

普段の仕事の中で、感じたり伝えきれなかったことを書き留めています

敢えて違う道を進みたいなら

誰しも、もう一度生まれ変われたらいいのに、と思ったことがあるだろう。チャンスがあれば、もっと自分は活躍できるはず。そうしたら、もっと大事にされて、いい給与をもらえるはずだ。さなぎから蝶になるように、一夜にして新しい自分に生まれ変わることができたならどんな人生が待っているのだろうか。

 

 

採用をしていろんな応募者の経歴を見ていると、転職にキャリアアップではなく、キャリアチェンジを求める人が多いように見える。今の仕事に満足できないのか、やってみたけど自分には向いて無いと思ったのか。動機はそれぞれあるだろうけど、今の仕事とまったく関連のない職種を希望する人がたくさんいる。新しい環境で一からやり直す事ができたら、新しい才能が芽生えてくるはずだと思うのだろうか?

 

大きなお世話かもしれないが、それはなかなか難しいことだ。なぜなら、あなたは、未来を見て転職を決意する。こんなことをやりたい!できるようになりたい!という視点で転職先を選ぶ。では、相手はどうだろうか?どんな仕事ができるのか?求める役割が務まりそうなのか?それを履歴書、いわば、あなたの過去を見て判断する。ここにギャップがある。

 

中途採用において求めるものは、当然ながら即戦力だ。求める役職に対して、これまでの経験や実績を見て判断するのである。いくら、自分ではその仕事ができると思っても、実績がなければ選ばれるのは難しい。「未経験OK」と求人票に書かれていたとしても、経験者と未経験者の2人の応募があったなら、迷う事なく経験者を採るだろう。


「学ぶ機会を与えてくれればできます」という人もよくいる。しかし、世の中そんなに優しくはない。それはお金を払って学校でやることであって、職場は自分の能力を提供して対価を得るところである。できないとわかっていて任せる人なんていない。今あなたが出来ることをやるしかないし、キャリアとは、そのささやかな積み上げでしかない。

 

だからといって悲観する事ではない。誰だって始めて経験するタイミングはある。キャリアが過去の積み上げであるならば、それが、あなたにとってどれだけ捨て去りたい過去だとしても、それにすがるしか道はない。そこで学んだこと、取り組んだこと、人間関係、全てを否定することはない。

 

まずは、なるべく過去の実績とつながりのある職場を選ぶことだ。同じ業界の違う仕事でも良い。違う業界の同じ仕事でも良い。接客していたなら営業が務まるかもしれない。飲食店にいたなら、食品業界なら評価してくれるかもしれない。やってきたことを、少しでもプラス評価してくれる相手を選ぶ方が有利だ。

 

あなたが大きくキャリアチェンジを考えているなら、少し回り道に感じるとしても、段階を踏んで、実績を積み上げていくことも考慮に入れた方がいい。なぜなら、未経験で1回きりの転職でいい仕事にありつくのは難しい。経験がないから、職場を選ぶ目も乏しいからだ。だから、最初は知り合いを頼るのもいい。コネがあるなら、迷わず使うといい。そして1年と言いたいところだが、3ヶ月でもかまわない。少しでも関係しそうな仕事に就かせてもらう。まずは未経験を脱出するために、何かしらの経験を得るための仕事と割り切っていくことで、新しい扉を開くカギを手に入れるのだ。

 

段階的に転職をしていく上で気をつけるべき事がある。あなたは腰掛けと思っていても、仕事である以上、責任がついてくる。仕事を覚えられればいいと独りよがりの態度だったり、どうせ辞めるからと無責任な振る舞いをしていたら、手痛いしっぺ返しを食らうだろう。

 

特に同じ業界で転職すると、面接の後に、前の職場に確認されるなんてことはザラにある。嘘をつくのは論外だが、勤務態度が悪かったり、喧嘩別れしたら、それが伝わることもある。辞める時は特に気をつけておいた方がいい。後腐れなく辞めるためには、後に引き継ぐ人に、きちんと気を配っておくべきだ。

 

一夜で違う自分に生まれ変わることはできない。それと同じで、新しい分野の仕事に切り替えるキャリアチェンジは時間がかかる。本当にやりたいことがあるのなら、今は満足できない職場でも、転職する前に経験すべきことがあるかもしれない。仮に転職した結果が思うようでなくても、次につながるようにすればいい。なりたい自分になることを諦めてはいけない。一度きりの人生は、あなたのものだ。