人生という冒険はつづく

普段の仕事の中で、感じたり伝えきれなかったことを書き留めています

職場で認められるには時間がかかる

職場を変えるのは不安がつきものだ。周りとうまくやれるのか、仕事はスムーズにこなせるだろうか、いつになったら成果を出せるのか。それを決めるのは、あなたの頑張りだけではない。一定の期間が必要になる。

 

 

僕の5回の転職経験を踏まえて言うと、どの職場でも、自分の意識と周りの目が変わってくるタイミングは共通していた。それは「3の倍数」の期間だ。3日、3週間、3ヶ月、1年(12ヶ月)、3年といったところだ。

 

転職を決めてから、ついに迎える初出社日。緊張する面持ちで職場に向かう。迎える相手もよそよそしい感じがする。でも、不思議と3日もたつと会社の雰囲気に慣れてくる。なんとなく周りの人の顔を覚える。相手も顔を覚えてくれて、挨拶しても自然になってくる。席に着くことに違和感がなくなって、居場所があることに安堵する。

 

仕事を引き継いだり、指示を受けたりしていると、慌ただしく毎日が過ぎていく。それがひと段落するのが3週間過ぎた頃だ。席に座ると、とりあえずやることがあるし、周囲の状況も冷静に見ることができるようになる。 職場の環境に馴染んだと安心感を持てるのはこの頃だ。

 

慣れない中で、試行錯誤を繰り返しながら与えられた仕事に取り組んでいると、急に出来るようになる時がある。ちょうど入社から3ヶ月頃だ。仕事の流れも見えてきて、自分が何を求められるのかわかってくる。そうなれば自分から行動を起こせるようにもなる。周りにも溶け込んで職場の一員という自覚ができる。

 

余談になるが、派遣で働く人が辛いのは、この3ヶ月で契約更新の不安を抱えるからだ。3ヶ月で終わると、その職場で得られるものは少なくなってしまう。それからも3ヶ月毎に契約終了する可能性があると思うと、腰を据えて仕事に取り組んでいこうという気持ちを持ち続けるのは難しい。

 

そして、1年(12ヶ月)すると、自分の役割りを全うできるようになる。会社は1年単位で仕事が回っているから、だいたい一通りの仕事を経験したことになる。これまでに取り組んだ経験を持っているから、次にやる時には結果が予測できるようになる。だから自分の意思で動けるようになる。一人前として仕事が回せるようになる。

 

さらに成果を積み上げていくと、周囲からの信頼も厚くなる。後から加わる人もでてくるから先輩として見られるようにもなる。3年も経つと周りがあなたの発言をしっかりと聞いてもらえるようになる。社内での影響力も高まり自由に振る舞うことができるようになる。

 

どこの職場でも、だいたいこのような期間を経て、あなたの評価が一つずつ上がっていく。だから転職で不安を感じても目の前の仕事をこなしていけば、評価は自ずとついてくる。ただし、転職を繰り返すと、その度に1年くらいのキャリアロスが発生することは覚えておいた方がいい。

 

あなたが20代であれば、さまざまな経験も学びになるので、大きな問題にはならない。しかし、30歳を過ぎて転職するなら、このロスを勘定に入れておく必要がある。いくら、あなたが出来る人だとしても、それを周囲に認めてもらえないことには、十分に力を発揮することができない。職場の生え抜き社員や、前の職場に残った友人に出世や給与で先を越されるかもしれない。

 

自分の意思で転職を選んだのなら、そこで焦ってはいけない。自分のペースを守っていれば、早晩、追いつくこと、追い越すこともできる。それを我慢できずに、短期間で実力が認められないからと焦って転職をしてしまうと、かえって活躍出来るタイミングを逃してしまう。

 

採用側として履歴書を見ると、1年前後で職場を転々としている人がいる。仕事の経験は認めるものの、周囲の信頼を得て仕事をした、という評価はできない。仮に能力はあっても周囲とうまくやれるのか、大きな仕事を任せれられるのか、と疑問を感じてしまう。

 

40歳を前に転職しようとすれば、採用側の要求もさらに高くなる。それまでの経験を活かした現場のリーダーシップやマネジメントが求められる立場になる。職場を転々としている人には、その期待はできないと感じる。そうなると専門職として資格があるとか、よっぽど優秀でない限り、条件を大きく落とさなければ、転職は難しいだろう。

 

転職を前に不安になることは誰でもある。それは時が解決してくれるから肩の力を抜いた方がいい。だから、少々うまくいかなかったからといって、じたばたせずに、周りが見えてくるまで少し待ってみると良い。信頼は一日して成らず。迷う時もあるけれど、自分を信じて進んでいけば、自ずと道は開けてくるはずだ。